『わたしと あそんで』
マリー・ホール・エッツ ぶん/え
よだ・じゅんいち やく
福音館書店
【絵本のご紹介】
うさぎやかめ、へびにかえる、それからりすとこじか、みんなおいかけると逃げてしまいます。
でも、わたしがじっと座っていると、みんなよってきてくれました。
森の中で女の子がしずかに、動物たちとふれあいます。
可愛らしい絵とお話の中に、ほんとうの自然の姿が感じられる絵本です。
【作者のご紹介】
マリー・ホール・エッツ
1895 – 1984
米国の絵本作家。
ミルウォーキー(ウィスコンシン州)生まれ。
牧師の子として生まれ、ニューヨーク、シカゴで美術を学ぶ。1918年結婚、翌年死別後社会学を学び社会福祉活動に従事する。’29年再婚。その後創作活動にはいる。優しい動物と自然を多く描き、色をあまり使わない暖かみのある線で描かれた絵が特徴である。作品は、
デビュー作「ペニーさん」「ペニーさんと動物家族」(以上徳間書店)、「もりのなか」「またもりへ」「わたしとあそんで」(以上福音館書店)のほか、「海のおばけオーリー」(岩波書店)など。ラバスティダとの合作「セシのポサダの日」ではコールデコット賞を受賞している。
【店主の感想】
子どもが一人森の中にいます。
お父さんもお母さんもいません。
でもたのしそうです。
そこにあるのは子どもの世界で、
こうした子どもの世界に作者が入り込んでいる絵本はとてもすばらしいと思います。
そして、子どもだけではなく、子どもがいる森と動物たちも、安易な擬人化もなく、自然そのものに近い印象を受けます。
作者の子どもと自然に対する信頼感、そのままの姿を大切に思う気持ちが表れているように思います。
女の子は、最初、生き物たちに「あそびましょ」と声をかけます。でも、生き物たちは、逃げてしまいます。自然の生き物はみな人間が近寄れば逃げます。
ところが、女の子が池の前でじっと座っていると生き物たちが集まってきました。
女の子はとてもとても幸せでした。
その様子をずっとお日さまが、やさしい光をふりそそいで、見守っていたのでした。
絵本の傑作の一つであることは間違いありません。お話も小さなお子様でもわかりやすく、何歳でも読んであげたい絵本です。
大人の方もぜひ、この絵本を読んで、自分の中の子どもと自然に出会ってみてはいかがでしょうか。
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